遺贈と死因贈与の違いとは?

相続

「亡くなった後に財産を渡す方法」を解説

「自分が亡くなった後、この財産を特定の人に渡したい」

このような希望を実現する方法として、代表的なものに遺贈死因贈与があります。

どちらも、財産を渡す人が亡くなった後に効力が生じる点では似ています。
しかし、法律上の性質は大きく違います。

簡単にいうと、

🌻遺贈は、遺言書で財産を渡す方法
🌻死因贈与は、生前に契約しておき、亡くなったら財産を渡す方法

です。

この記事では、遺贈と死因贈与の違いを解説します。

遺贈(いぞう)とは?

遺贈とは、遺言によって、自分の財産を特定の人や団体に渡すことです。

たとえば、遺言書に次のように書く場合です。

私の所有する不動産を、長男に遺贈する。
私の預貯金の一部を、甥に遺贈する。

遺言者は、財産の全部または一部をあげたい人に渡すことができます。

遺贈の特徴は、遺言者の一方的な意思表示でできるという点です。
財産を受け取る人の事前の承諾は、基本的には必要ありません。

つまり、遺言書にきちんと書いておけば、相手と生前に契約を結んでいなくても、亡くなった後に財産を渡すことができます。

死因贈与(しいんぞうよ)とは?

死因贈与とは、生前に「私が亡くなったら、この財産をあなたにあげます」という契約をしておくことです。

たとえば、次のような合意です。

Aさんが亡くなったときは、Aさんの不動産をBさんに贈与する。

死因贈与は、法律上は贈与契約の一種です。

大切なのは、死因贈与は契約だという点です。
財産を渡す人だけでなく、財産を受け取る人の合意も必要になります。

一番大きな違いは「一人でできる」か「契約」か

遺贈と死因贈与の一番大きな違いは、次の点です。

項目遺贈死因贈与
法律上の性質遺言による単独行為贈与契約
相手の承諾生前の承諾は不要受け取る人の合意が必要
使う書類遺言書死因贈与契約書
効力が生じる時期遺言者が亡くなった時贈与者が亡くなった時
方式遺言の方式を守る必要あり契約として成立する必要あり
イメージ「亡くなったら渡します」と遺言に書く「亡くなったら渡す」と生前に約束する

遺贈は「遺言書のルール」が大切

遺贈をする場合は、遺言書を作成します。

遺言書には、法律で決められた方式があります。
たとえば、自筆証書遺言であれば、本文を自分で書く必要があります。日付や署名押印なども重要です。

形式に不備があると、せっかくの遺言が無効になってしまう可能性があります。

そのため、遺贈を使う場合は、

  • 誰に
  • どの財産を
  • どのように渡すのか

を、遺言書の中で明確に書くことが大切です。

特に不動産を遺贈する場合は、登記簿どおりに不動産を特定するなど、後の登記手続まで考えた書き方が必要になります。

死因贈与は「契約書」が大切

死因贈与は契約です。

そのため、生前に財産を渡す人と受け取る人との間で、合意しておく必要があります。

口頭でも契約が成立する余地はありますが、実務上はおすすめできません。
亡くなった後に「本当にそんな約束があったのか」が争いになりやすいからです。

死因贈与をする場合は、できるだけ契約書を作成しておくことが大切です。

たとえば、契約書には次のような内容を記載します。

  • 誰が誰に贈与するのか
  • どの財産を贈与するのか
  • 贈与者が亡くなったときに効力が生じること
  • 不動産の場合、登記手続に協力すること
  • 必要に応じて負担の内容

死因贈与は、特に「生前に相手と約束しておきたい場合」に使われることがあります。

具体例で見る違い

たとえば、Aさんが「自分が亡くなったら、自宅をBさんに渡したい」と考えている場合を考えます。

遺贈の場合

Aさんが遺言書に、

自宅不動産をBさんに遺贈する。

と書いておく方法です。

この場合、Bさんが生前に承諾していなくても、遺言書の内容として効力が生じます。

死因贈与の場合

AさんとBさんが生前に、

Aさんが死亡したときは、自宅不動産をBさんに贈与する。

という契約を結んでおく方法です。

この場合は、AさんとBさんの合意が必要です。

同じ「亡くなった後に自宅をBさんへ渡す」という内容でも、
遺言書で行うのか、契約で行うのかが違います。

遺贈と死因贈与、どちらを選ぶべき?

どちらがよいかは、目的や状況によって変わります。

💡遺贈が向いていることが多いケース

遺贈は、次のような場合に使いやすい方法です。

  • 自分の意思で財産の渡し先を決めたい
  • 相手と生前に契約する必要まではない
  • 遺言書の中で相続全体を整理したい
  • 他の財産の分け方もまとめて決めたい

遺言書の中で相続全体を整理できるため、相続対策としては一般的に使いやすい方法です。

💡死因贈与が向いていることがあるケース

死因贈与は、次のような場合に検討されることがあります。

  • 相手と生前に約束しておきたい
  • 受け取る人にも合意してもらいたい
  • 一定の負担をお願いしたい
  • 不動産などについて、生前から契約関係を明確にしておきたい

たとえば、「自分の面倒を見てもらう代わりに、亡くなったら財産を渡す」といった形では、死因贈与が検討されることがあります。

ただし、このような内容はトラブルになりやすい面もあります。
契約書の内容は慎重に作成する必要があります。

まとめ

遺贈と死因贈与は、どちらも「亡くなった後に財産を渡す」ための方法です。

ただし、法律上の性質は違います。

遺贈は、遺言書によって財産を渡す方法です。
死因贈与は、生前に契約をしておき、亡くなったときに財産を渡す方法です。

一番大きな違いは、
遺贈は一方的な意思表示でできるのに対し、死因贈与は相手との合意が必要という点です。

どちらを選ぶべきかは、財産の内容、家族関係、渡したい相手、将来の手続によって変わります。

不動産を含む場合や、相続人以外の人に財産を渡したい場合は、後の登記手続や相続トラブルを防ぐためにも、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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