遺言書を作ろうと思ったときに、よく出てくるのが次の2つ。
「自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)」と「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)」です。
どちらも、きちんと作れば有効な遺言です。
ただし、作り方や費用、安心感には大きな違いがあります。
この記事では、2つの違いを説明します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。
自分ひとりで作りやすく、費用もあまりかかりません。
「まずは遺言を残したい」という方にとって、始めやすい方法です。
ただし、法律で決まったルールを守らないと、無効になることがあります。
この点は、特に注意が必要です。
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言には、次のようなメリットがあります。
⓵自分で作れる:思い立ったときに作れます。証人もいりません。
⓶費用がかからない:公証役場で作る方法に比べると、費用負担はかなり抑えられます。
⓷内容を秘密にしやすい
自筆証書遺言のデメリット
一方で、デメリットもあります。
1⃣形式ミスで無効になる。
2⃣紛失や改ざんの心配がある:自宅で保管すると、見つからないことがあります。勝手に開けられたり、書き換えられたりする心配もあります。
3⃣検認が必要:自宅などで保管していた自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所で検認が必要です。
※検認とは、遺言書の状態を確認する手続です。
「有効か無効か」を判断する手続ではありません。
自筆証書遺言は法務局で保管できる
今は、自筆証書遺言書保管制度があります。
作成した遺言書を法務局に預ける制度です。
この制度を使うと、次のようなメリットがあります。
- 紛失しにくい
- 改ざんされにくい
- 相続開始後に検認が不要になる
自筆証書遺言の弱点を減らせるので、利用を考える価値は大きいです。
ただし、法務局は遺言の内容まで細かく相談にのる場所ではありません。
内容に不安があるときは、専門家に確認するのが安心です。
公正証書遺言とは
公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。
遺言をする人が希望を伝え、
それを公証人が法律に沿って文章にします。
自分だけで作るのではなく、専門家が関わる方法です。
そのため、安心感が高いのが特徴です。
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言には、次のようなメリットがあります。
⓵形式の不備が起きない:公証人が作成するため、方式のミスが起こりにくいです。
⓶紛失や改ざんの心配がない:原本は公証役場で保管されます。
⓷検認が不要:相続が始まったあと、家庭裁判所の検認が不要です。
そのため、手続きを進めやすいという利点があります。
公正証書遺言のデメリット
1⃣費用がかかる:自筆証書遺言に比べると、費用は高いです。
2⃣手間がかかる:公証役場との打ち合わせ、必要書類の準備が必要です。
3⃣ 証人が2人必要:完全に内容を秘密で進めるのはむずかしい面があります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
大きな違いを簡単にまとめると、次のとおりです。
自筆証書遺言
- 自分で作る
- 費用をおさえやすい
- 手軽に始めやすい
- ミスや保管の不安がある
公正証書遺言
- 公証人が作る
- 費用と手間はかかる
- 安全性と確実性が高い
- 相続開始後の手続きを進めやすい
どちらを選べばいい?
どちらがよいかは、何を重視するかで変わります。
費用をおさえたい方
まずは自筆証書遺言を考えやすいです。
ただし、できれば法務局の保管制度もあわせて検討したいところです。
確実さを重視したい方
公正証書遺言が向いています。
相続人同士でもめそうな場合にも、こちらが選ばれやすいです。
財産や家族関係が複雑な方
不動産が多い方や、相続関係が複雑な方は、公正証書遺言のほうが安心です。
迷ったときの考え方
迷ったときは、次のように考えるとわかりやすいです。
まず残すことを優先したい
→ 自筆証書遺言
できるだけ安全で確実な形にしたい
→ 公正証書遺言
また、急ぎで気持ちを形にしたい場合は、
先に自筆証書遺言を作り、あとで公正証書遺言を検討することもあります。
まとめ
自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれ良さがあります。
自筆証書遺言は、手軽で費用をおさえやすい方法です。
公正証書遺言は、手間と費用はかかりますが、安心感が高い方法です。
大切なのは、自分に合った方法で、きちんと遺言を残すことです。
「自分の場合はどちらがよいかわからない」
「内容をどう書けばよいか不安」
そのようなときは、早めに専門家へご相談ください。→遺言のご相談はこちら


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