株式会社を設立するときに、まず決めることのひとつが*発起人(ほっきにん)*です。
会社設立のご相談では、
「発起人って誰のことですか?」
「取締役とは違うのですか?」
「1人でも会社をつくれますか?」
というご質問をいただくことがあります。
発起人という言葉は、日常生活ではあまり使わないため、少しわかりにくいですよね。
この記事では、株式会社設立における発起人の意味、役員との違い、人数を決めるときの考え方について、解説します。
発起人とは「会社をつくるためにお金を出す人」
発起人とは、簡単にいうと、株式会社をつくるためにお金を出す人のことです。
株式会社を設立するときには、会社の資本金となるお金を出す人が必要です。
このお金を出して、会社設立の準備を進める人を「発起人」といいます。
たとえば、資本金100万円の会社をつくる場合に、Aさんが1人で100万円を出すのであれば、Aさんが発起人になります。
AさんとBさんが50万円ずつ出すのであれば、AさんとBさんの2人が発起人になります。
つまり、会社設立時に出資する人が発起人です。
発起人は、会社設立後は「株主」になる
発起人は、会社設立のときにお金を出し、その代わりに会社の株式を引き受けます。
そのため、会社が設立された後は、発起人は基本的に株主になります。
株主とは、会社の持ち主としての立場を持つ人です。
持っている株式数に応じて、配当を受けたり、株主総会で会社の重要事項について意思表示をしたりします。
つまり、流れとしては次のようになります。
会社設立前:発起人
会社設立後:株主
このように考えると、少しイメージしやすくなります。
発起人と役員はどう違う?
発起人とよく混同されやすいのが、役員です。
発起人は、会社をつくるためにお金を出し、設立の準備を進める人です。
一方、役員は、会社ができた後に、会社の経営や運営をしていく人です。
株式会社の役員には、取締役、代表取締役、監査役などがあります。
簡単にまとめると、次のようになります。
| 立場 | 役割 |
|---|---|
| 発起人 | 会社をつくるためにお金を出す人 |
| 株主 | 会社設立後、株式を持つ人 |
| 役員 | 会社設立後、会社を運営する人 |
発起人と役員は、同じ人でもかまいません。
たとえば、1人で会社を設立する場合は、発起人も、株主も、取締役も、同じ人になることがあります。
一方で、発起人はお金を出すだけで、会社の運営は別の人が役員として行う、という形もあります。
発起人は1人でも大丈夫?
株式会社の発起人は、1人でも大丈夫です。
実際に、小規模な会社や、いわゆる1人会社では、発起人が1人というケースも多くあります。
たとえば、次のような形です。
資本金100万円
発起人:1人
取締役:1人
この場合、1人で出資し、1人で会社を運営していく形になります。
「会社をつくるには、何人か集めなければならない」と思われる方もいますが、株式会社は1人でも設立することができます。
発起人が複数いる場合はどうなる?
発起人は1人でもよいですが、複数名にすることもできます。
たとえば、3人で資本金100万円を出し合う場合、次のような形が考えられます。
Aさん:40万円
Bさん:30万円
Cさん:30万円
この場合、Aさん、Bさん、Cさんの3人が発起人になります。
会社設立後は、それぞれが出資した割合に応じて株式を持つことになります。
複数名で出資すると、1人あたりの金銭的な負担は軽くなります。
ただし、その分、会社の重要なことを決めるときに、意見調整が必要になることがあります。
そのため、発起人を複数にする場合は、
「誰がいくら出資するのか」
「誰が会社を運営するのか」
「将来的に意見が分かれたとき、どうするのか」
を事前に話し合っておくことが大切です。
発起人が多すぎると手続きが複雑になることも
発起人の人数に厳しい上限はありません。
ただし、発起人が多くなると、会社設立の準備や書類作成、意思確認に時間がかかることがあります。
特に、発起人全員の同意が必要になる場面や、住所・氏名・出資額などを正確に確認する場面があります。
そのため、一般的な小規模会社の設立では、発起人は1人、または2〜3人程度にしておくと、手続きが進めやすいことが多いです。
もちろん、事業内容や出資者の関係によって適切な人数は異なりますので、迷う場合は専門家に確認しておくと安心です。
発起人を決めるときに確認したいこと
発起人を決めるときは、次のような点を確認しておきましょう。
1. 誰が出資するのか
まずは、誰が会社にお金を出すのかを決めます。
発起人になる人は、会社設立時に株式を引き受けることになります。
そのため、「名前だけ貸す」という感覚ではなく、会社の設立に関わる大切な立場になります。
2. いくら出資するのか
次に、各発起人がいくら出資するのかを決めます。
出資額は、会社設立後の持株割合に関係します。
持株割合は、将来の議決権や配当にも関係するため、慎重に決める必要があります。
3. 役員になる人は誰か
発起人と役員は別の立場です。
そのため、
「出資する人」
「会社を運営する人」
が同じなのか、別なのかを確認しておきましょう。
1人会社であれば、発起人と取締役が同じ人になることが多いです。
一方で、複数人で設立する場合は、誰が代表取締役になるのかも大切なポイントです。
4. 将来の運営方針を共有できているか
複数人で会社をつくる場合は、設立時だけでなく、設立後の運営についても考えておく必要があります。
会社の方向性、利益の分配、役割分担などについて考え方が大きく違うと、後でトラブルになることがあります。
会社設立前の段階で、できるだけ話し合っておくことが大切です。
発起人になれる人・注意が必要な人
発起人は、個人だけでなく法人がなることもあります。
ただし、未成年者や法人が発起人になる場合などは、追加で確認すべき書類や手続きが必要になることがあります。
また、海外在住の方や外国籍の方が関係する場合も、通常とは異なる確認が必要になります。
発起人に少し特殊な事情がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
株式会社設立における発起人とは、会社をつくるためにお金を出す人のことです。
発起人は、会社設立後には株主となり、会社の重要な事項に関わる立場になります。
一方、役員は会社設立後に会社を運営する人です。
発起人と役員は同じ人でもよいですし、別の人でもかまいません。
発起人は1人でも問題ありませんが、複数名にする場合は、出資額や持株割合、会社設立後の運営方針について、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
株式会社設立では、発起人の決め方が、その後の会社運営にも関わってきます。
「誰を発起人にするか」「何人にするか」で迷ったときは、会社設立の手続きに詳しい専門家に相談しながら進めると安心です。
FAQ
Q. 発起人は1人でも会社を設立できますか?
はい。株式会社の発起人は1人でも大丈夫です。1人で出資し、1人で会社を運営する形の会社もあります。
Q. 発起人と取締役は同じ人でもいいですか?
はい。同じ人でもかまいません。1人会社の場合は、発起人、株主、取締役が同じ人になることもあります。
Q. 発起人は会社設立後どうなりますか?
発起人は、会社設立時に株式を引き受けるため、会社設立後は株主になります。
Q. 発起人が多いと問題がありますか?
発起人が多いこと自体が直ちに問題になるわけではありません。ただし、書類作成や意思確認、設立後の意見調整に時間がかかることがあります。


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