任意後見契約とは?法定後見との違いは?

後見

「将来、認知症になったら自分の生活はどうなるの?」
「施設への入所契約や銀行の手続きは、家族が当然にできるの?」
「元気なうちに、自分の信頼できる人へお願いしておく方法はある?」

このような不安に備える制度のひとつが、任意後見契約です。

任意後見契約は、本人がまだしっかり判断できるうちに、将来のために「誰に」「どのような手続きをお願いするか」を決めておく制度です。

任意後見契約とは

任意後見契約とは、将来、認知症や病気などにより判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめ信頼できる人にお願いする内容を決めます。何でも自由にできるわけではありません。

  • 預貯金の管理
  • 年金や保険に関する手続き
  • 介護サービスや福祉サービスの契約
  • 施設入所に関する契約
  • 医療費、入院費、施設費などの支払い
  • 不動産や財産に関する手続き

※食事の介助や掃除、身の回りのお世話そのものを任意後見人が行う制度ではありません。任意後見人は、主に本人のために必要な契約や財産管理などの法律的な手続きを行う立場です。

契約しただけでは、すぐには始まりません

任意後見契約で特に大切なのは、契約をしただけでは任意後見は開始しないという点です。

任意後見契約は、本人の判断能力が低下したあと、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。つまり、公正証書を作った時点では、まだ任意後見人としての仕事は始まりません。

流れとしては、次のようになります。

  1. 本人が元気なうちに、任意後見人になってほしい人を決める
  2. 公証役場で任意後見契約を公正証書にする
  3. 契約内容が登記される
  4. 将来、本人の判断能力が低下する
  5. 家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てをする
  6. 任意後見監督人が選任される
  7. 任意後見契約の効力が発生し、任意後見人の仕事が始まる

任意後見契約は公正証書で作成します

任意後見契約は、口約束や私文書だけでは足りません。
法律上、公正証書によって作成する必要があります

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公的な書類です。

本人と任意後見人になる予定の人が、契約内容を確認し、どのような代理権を与えるのかを明確にしておきます。

契約が締結されると、公証人の嘱託により任意後見契約の内容が登記されます。

任意後見監督人とは

任意後見制度では、本人が選んだ任意後見人が、将来、本人の財産管理や契約手続きを行います。

ただし、判断能力が低下した本人に代わって大切な財産や契約を扱うため、任意後見人をチェックする立場の人(=任意後見監督人が必要になります。

任意後見監督人は、任意後見人が契約内容どおりに、本人のために適正に仕事をしているかを確認します。

ここで注意したいのは、任意後見監督人は、本人の施設入所契約や預金管理を直接行う人ではないということです。
実際に本人の代理人として契約や財産管理を行うのは、原則として任意後見人です。任意後見監督人は、その任意後見人を監督する立場です。

誰が任意後見人になれるの?

任意後見人になる人は、本人が元気なうちに選びます。

家族、親族、信頼できる知人、司法書士などの専門職が候補になることがあります。法人が任意後見人になることもあります。

大切なのは、単に「近い家族だから」という理由だけでなく、本人の財産管理や契約手続きをきちんと行えるか、本人の意思を尊重してくれるかという点です。

なお、実際に任意後見を開始する段階では、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。任意後見人に不適任な事情がある場合には、任意後見制度をそのまま利用できないこともあります。

任意後見契約と法定後見の違い

成年後見制度には、大きく分けて法定後見任意後見があります。

🌻法定後見は、

すでに判断能力が低下している

家庭裁判所が後見人等を選

🌻任意後見は、

本人が元気なうちに、自分の意思で任意後見人となる人を選ぶ

契約内容も決めておく

「将来はこの人にお願いしたい」
「施設入所や介護サービスの契約をサポートしてほしい」

このような希望を、あらかじめ契約として形にしておくことができます。

任意後見契約で注意したいこと

任意後見契約は、将来の安心につながる制度ですが、注意点もあります。

まず、本人の判断能力が十分にあるうちでなければ、任意後見契約を結ぶことは難しくなります。

また、契約を作っても、本人の判断能力が低下した後に任意後見監督人選任の申立てをしなければ、任意後見は開始しません。

さらに、任意後見契約の内容はとても大切です。
代理権の範囲があいまいだと、実際に手続きが必要になったときに困ることがあります。

そのため、契約を作る段階で、本人の生活状況、財産の内容、将来希望する支援の内容を整理しておくことが大切です。

早めの準備が安心につながります

任意後見契約は、「今すぐ誰かに財産を預ける制度」ではありません。

将来、判断能力が低下したときに備えて、元気なうちに準備しておく制度です。

特に、次のような方は、早めに検討しておくと安心です。

  • おひとり暮らしの方
  • 子どもが遠方に住んでいる方
  • 将来の財産管理が不安な方
  • 施設入所や介護サービスの契約に不安がある方
  • 自分の希望を元気なうちに形にしておきたい方
  • 家族に負担をかけすぎたくない方

判断能力が低下してからでは、任意後見契約を結ぶことが難しくなる場合があります。

「まだ早いかな」と思う段階で相談することが、将来の安心につながります。

まとめ

任意後見契約は、本人の意思を大切にしながら、将来の生活や財産管理に備えるための制度です。

「自分らしい生活を続けたい」
「信頼できる人にお願いしておきたい」
「家族に迷惑をかけすぎないように準備したい」

そのようなお気持ちがある方は、早めに専門家へ相談してみることをおすすめします。

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