【相続放棄】を考えているなら、故人の財産にさわる前に注意!

相続

~「ちょっと使っただけ」のつもりが、相続放棄できなくなることがあります~

「親に借金があるかもしれない」
「相続放棄をしたほうがいいのかな」
「でも、通帳や現金、家財道具はどうしたらいいの?」

相続が発生したとき、つい故人の預金や家の中の物に手をつけてしまいそうになることがあります。

しかし、相続放棄を考えている場合は、故人の財産を勝手に使ったり、売ったり、分けたりしないことがとても大切です。

場合によっては、法律上、
「相続することを認めた」とみなされてしまうことがあるからです。

相続放棄とは?

相続放棄とは、亡くなった方の財産も借金も、どちらも引き継がない手続きです。

借金だけを放棄して、預貯金や不動産をもらうということはできません✖

たとえば、亡くなった方に預貯金や不動産があっても、借金が多い場合には、相続放棄を検討することがあります。

相続放棄をするには、家庭裁判所に申述をする必要があります。

また、相続放棄は原則として、自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内に行う必要があります。

なぜ財産に手をつけてはいけないの?

民法では、一定の行為をすると、相続人が単純承認をしたものとみなされる場合があります。

単純承認とは、簡単にいうと、
プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐことです。

つまり、相続放棄をするつもりだったのに、故人の財産を処分してしまったことで、
「相続するつもりだった」と扱われてしまう可能性があるということです。

民法921条では、相続財産を処分した場合などに、単純承認をしたものとみなすとされています。

⚠たとえば、こんな行動は注意が必要です

例1 故人の預金を引き出して使う

亡くなった方の通帳からお金を引き出して、家族の生活費や自分の支払いに使ってしまう。

これは、相続財産を自分のために使ったと見られる可能性があります。

相続放棄を考えている場合は、故人の預金を安易に引き出して使わないようにしましょう。

例2 故人の車や貴金属を売る

「もう誰も使わないから」と、故人名義の車、時計、宝石、ブランド品などを売ってしまう。

このような行為は、相続財産を処分したと判断される可能性があります。

価値がある物を売ったり、人にあげたりする前に、相続放棄をする可能性がないか確認することが大切です。

例3 家の中の物を勝手に分ける

「これは形見だから」
「これは私がもらっていいよね」
と、家具、家電、美術品、着物、コレクションなどを家族で分けてしまうケースです。

経済的価値がほとんどない思い出の品であれば問題になりにくい場合もありますが、価値のある物を分けると、相続財産の処分と見られる可能性があります。

迷う物は、いったん保管にとどめておくのが安心です。

例4 故人の借金を相続財産から返済する

督促状が届くと、あわてて支払いたくなるかもしれません。

しかし、故人の預金など相続財産を使って借金を返済することは、内容によっては単純承認と関係する可能性があります。

「払わないと大変そう」と感じても、相続放棄を検討している場合は、先に専門家や家庭裁判所に確認しましょう。

葬儀費用はどうなるの?

よくあるご相談が、
「故人の預金から葬儀費用を出しても、相続放棄できますか?」
というものです。

葬儀費用については、すぐに単純承認になるとは限らないと考えられる場合があります。

ただし、葬儀の規模や金額、支払い方によって判断が分かれる可能性があり、判断が難しいです。

そのため、相続放棄を考えているときは、
故人の預金から葬儀費用を出す前に、専門家へ相談することをおすすめします。

「葬儀だから大丈夫」と決めつけず、慎重に進めましょう。

さわってもよい可能性があるものもあります

相続放棄を考えている場合でも、何もかも一切できないわけではありません。

たとえば、次のような行為は、財産を守るための行為として問題になりにくい場合があります。

行為注意点
通帳や権利証を見つけて保管する使わず、なくさないように保管する
郵便物を確認する借金や請求書の有無を確認するため
財産や借金を調べる相続放棄するか判断するため
空き家の戸締まりをする防犯・保存のため
腐りやすい食品を処分する財産価値のある物とは分けて考える

ポイントは、
「自分のものとして使う」のではなく、「そのまま保管する・確認する」ことです。

相続放棄を考えたら、まずはこの3つを意識しましょう

1 使わない

故人の預金、現金、車、貴金属などを、自分や家族のために使わないようにしましょう。

2 売らない

価値のある物を売却したり、処分したりするのは避けましょう。

3 分けない

家族で遺品を分ける前に、相続放棄の可能性がないか確認しましょう。

合言葉は、
「使わない・売らない・分けない」
です。


3か月以内に判断できないときは?

相続放棄をするかどうかは、原則として3か月以内に決める必要があります。

ただ、財産や借金の調査に時間がかかり、3か月以内に判断できないこともあります。

そのような場合には、家庭裁判所に申立てをすることで、期間を伸ばしてもらえる場合があります。

「まだ調査中だから」と何もしないまま3か月を過ぎてしまうのは危険です。

まとめ

相続放棄を考えている場合、故人の財産には慎重に対応する必要があります。

特に、次のような行為には注意しましょう。

  • 故人の預金を使う
  • 車や貴金属を売る
  • 家財道具を勝手に分ける
  • 借金や請求を故人の財産から支払う
  • 価値のある遺品を持ち帰る

相続放棄をするか迷っている段階では、
「とりあえず使わない・売らない・分けない」
という対応が安心です。

相続放棄は、期限もあり、判断を間違えると後から取り返しがつきにくい手続きです。

故人に借金があるかもしれない場合や、財産に手をつけてよいか迷う場合は、早めに専門家へご相談ください。⇒相続放棄をお考えの方

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